まるちゃんとアラスカ
「アラスカン・キャビア」
それは、渡米後9ヶ月、2つめに受講したクラス「アラスカの自然史 Natural History of Alaska」でのこと。
1つめのアラスカ民俗学のクラスは、見事に落ちこぼれてしまったまるちゃん。
今回は気合入ってるでえ!最前列中央の席を指定席にし、さらにテープレコーダーの使用許可も取った。
毎回の授業後は、テープを何回も巻き戻しながら、聞き取れなかったところをチェック。
ところが、それでもわからないところが。
そう、それは、「ジョーク」。
何が面白いのかわからない、というのではなく、それが授業内容なのか、雑談なのかさえわからないというレベル。
しかも、先生は「マンボージャンボー」という、辞書にも載ってないし、ジョークとしても意味不明の言葉を、要所要所に使う。
まんぼーじゃんぼーなんて、きっと意味のない「枕詞」のようなものだろうと想像しつつも、「まんぼーじゃんぼー」と先生が言うたび、その言葉を何回も心の中で吟味してしまって、その後に続く授業が数分空白になってしまうのだった。
ああ、いったいナンなんだ、まんぼーじゃんぼーって!!!
というわけで、最終試験の直前、長い質問リストを作ったまるちゃんは、教授のオフィスへ。
マンツーマンで、いろいろ教えてもらう。まじで気合入ってんねんでえ!
ところが、「まんぼーじゃんぼー」は質問することさえはばかられる響きがあって(あるでしょ?)、ついにうやむやのまま・・・。
このクラスでは、アラスカの植物、動物、サーモンなどの魚、さらには寄生虫までも、とても詳しく教えてくれる。
そして、雑談の一つとして、ふともらした先生の言葉。
「このへんにはスタージョンもいる。」
オフィスの質問タイムでさらにつっこんで聞くと、やっぱりキャビアのお母ちゃんやった!
どこ!どこ!どこにいるんですかー?
うーんと、ここ。
地図まで出して説明してくれる先生。
それは、アンカレッジからポーテージグレーシア(氷河)へ向かう、美しい景色の続く海岸線の一角だった。
この道は、夏にカシツナベイ研究所へ行く通り道として、何回も通っている。
道沿いに切り立った崖には、ドールシープとか言う、白い、角の生えたヤギだか羊だかが住んでいて、よくもまあ、あんなヒズメだけで転げ落ちへんもんやと恐れ入る、そんな場所。ロッククライミングの練習場所にもなっている。
こうなったらスタージョンを拝んで、ついでに捕まえて、キャビア丼にして、残りは高く売りさばきましょう。そうしましょう、そうしましょう。
というわけで、この辺だったかなあというあたりの川を、一つ一つ覗き込む。
もちろん、キャビアどころか、ムースの糞さえ見つけられませんでした。
そのかわり、入り江の向こうの方に、白い背中がちらちらと見え隠れ。
「ベルーガウェール」という、イルカほどの大きさの、白っぽい鯨(イルカなのか?)の団体旅行だった。
このベルーガご一行様は、後でどこぞの浅瀬に乗り上げて動けなくなって、新聞に出たりしていた。