まるちゃんと記憶の香煙
「麦茶アイス」

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麦茶アイス。

プラスチックの水筒の中で
つるん ぴかん ことん
とする、冷たい塊。

水筒の外側には こまかな水滴がびっしりと浮かび
少しずつ解ける麦茶アイスの周りには 極々冷えた麦茶。

蒸せかえる体育館
腕にうっすらと噴く塩
壁に天井に跳ね返る甲高い掛け声
飛び散る汗
白くまぶしい運動場に立つ 乾いた土ぼこり。

頭がぼうっとする
目がかすむ
自分の呼吸音が遠くに聞こえる
もつれる足だけが 体を運ぶ。

水道をいっぱいにひねり 腕や顔の汗を流す
水滴がはじけ
風がさあっと抜ける

水筒を額に当て
少したまったキンと冷たい麦茶をむさぼり
つるつる光る麦茶アイスをほおばる。

白熱の日差しと 友の笑顔と しょっぱい涙と。

2003/1/10

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