まる赤妊娠日記
出産

メインメニューへ戻るまる赤もくじへ


◆夫から出産のお知らせ

9月27日無事に男子が産まれました。
妻も赤ちゃんも共に健康です。出産時の体重は3125g でした。
誕生日はお爺ちゃんと同じになりました(別に計画したわけではないです)。
ちなみに干支もお爺ちゃんと同じです。
お爺ちゃんは「俺みたいに賢いに違いない」と言っています。

追伸:もし9月27日の新聞を持っていたら送って下さい。 記念にとって置こうと思っています。



◆ 夫からアメリカの友人へアナウンスメント◆

Dear Friends,

I am happy to announce the birth of my son.
He was born at 5:44 PM on September 27. It is also his grandfather's birthday!
He weighs 6 lb 14.2 oz.  Although they experienced long labor, my wife and the baby are healthy.
I am sure that they would like to greet everybody, but it will have to wait until they recover from the changes they have experienced.
In the meantime, I thank everybody for your kind support.

Thank you

P.S. If you subscribe to a news paper and still have the one for the Monday (9/27/99), please send it to me.  I would like to keep the news paper from different places for him so that he will know what was happening on the day he was born.



◆夫から二人の実家へ◆

9月29日に妻と赤ちゃんが無事退院しました。
アメリカは入院期間が出産から48時間ととても短いので二人ともかわいそうです。
妻は出産に麻酔を使ったのでその影響で頭が痛いようですが、その他は産後にしては至って健康です。
赤ちゃんは出産後から体重をかなり落としました。 標準の二倍のおしっこ&うんちをするのでそのせいだとおもいます。 今朝あたりから母乳のでも良くなり、規則正しく飲んでいるので心配ないと思います。

出産は陣痛が始まってから37時間かかりました。 押すようになってからは、1時間という早さでした。 別に特別な異常もなく うまくいった出産だったと思います。 見ていて、これで出てくるのかなと心配したのですが、自然と言うものは不思議なものです、出来そうに無いことも、おこってしまうのですから。 へその緒を切って、大きな声で泣いている赤ちゃんが妻の上にいるのを見て、感動でちょっと泣いてしまいました。 今から考えると4日前のことなのですが、遠い昔のような気がします。

明日は看護婦に来てもらって、その後の二人の経過を見てもらうことにしています。
月曜日には赤ちゃんの診察もあるので、 その後の経過も報告します。



◆出産の詳細◆

9月26日朝4時、10ヶ月ぶりに感じる生理痛のような鈍い痛みに目が覚める。でもすぐ平気になったのでとりあえず寝る。

朝5時、トイレタイム。おしっこしたら、ヌルリ・・・ポチャーンと小指ほどの大きさ長さの赤黒いものが出てくる。
おお、これは「おしるし」ってやつ?
流す前に夫を起こして見物。その後また寝るが、半時間に1回ぐらい痛みがくる。陣痛はじまったかな?

午前中、時間をはかって表につけながらシャワーを浴びたり、爪切ったり、荷物点検したり、食べたり。
買い物に行こうか迷ったけど、スーパーで破水したら嫌だからやめ。

午後2時、15分間隔になったので、診療所へ電話するが、「5分間隔になったらまた電話しろ」と言われてがっくり。
時間をもてあまして二人でテレビを見る。

ちなみに、電話は妊婦本人がすることになっている。
口調が陣痛の状態を判断する材料になるからだとか。

午後5時、7分間隔に。ときどき4分間隔になるので、よっしゃ、電話や!病院や!
車の中でも間隔をはかるが、2分間隔のこともあって、少しあせる。
上手い具合に渋滞もなく、50分ほどで到着。
夕焼けがきれいだった。

個室に入って、割烹着のようなものに着替えると、お腹に2個モニターを付けられる。
赤ちゃんの鼓動と陣痛の強さがグラフに出てくるやつ。
陣痛は、グラフのほうが一呼吸早く表示されるみたいで、夫が「始まるよ」「終わり」と言ってくれるけど、「終わり」と聞いてもまだしばらく痛みが続く。

情けない事に、入院してから陣痛の間隔が15,20分に開いてしまい、このままでは家に送り返されてしまうのでは・・・と心配になる。
でも、家まで片道40分かかるし、夜だし、とりあえず帰らなくていいことにしてくれ、ほっとする。

おしっこを調べた看護婦さんから、「少し脱水症状のようだから、しっかり水分を取るように」と指示され、お腹ちゃぷちゃぷなのをがまんしてせっせと飲んだのに、充分ではなかったらしく、左手首から点滴開始、分娩まで続く。

真夜中になった。

朝、陣痛が始まった時は、14時間ぐらいで生まれるかなあ、そうしたら今夜8時ごろかな?と予想してたのに、20時間経ってもまだ破水さえしていないとは・・・。
陣痛だけは続いていて、 ハッヒッハッヒッと呼吸法するのも疲れた。
看護婦さんの提案に従って、「ニューべイン」という鎮痛剤を注射して一眠りすることにする。
夫は部屋に備え付けのソファーベッドに横になり、早速おおいびき。
うるさいー!

朝になった。

先生が来て内診、人工破水することになるが、その前にトイレに行ったら突然全身がブルブル震え出してびっくりぎょうてん。痙攣といってもいいような感じ。唇もふるえているので言葉が「あわあわ・・・」でちょっと笑ってしまう。
人工破水って確か棒で突っつくんやったっけ・・・?と思い出しながらブルブル震えていると、乱暴に突っつかれている感触がして、バシャっと熱い水が流れ出たのが分かった。
痛くなかったので、「これで少しはお腹へっこんだかなあ」などと呑気に考える。(少しもへっこまなかった。)

お昼になっても、まだ3センチぐらいしか子宮口が開いていないと聞き、マジにがっくり。永遠に続くように感じる。
お産の進行を早めるために、オキシトシンとかいう陣痛促進剤を点滴に加えることになる。

2時過ぎには疲れと痛みで呼吸も乱れがち、「エピデュラル」という麻酔を打ってくれるよう頼むが、二人目妊娠中7分間隔の人も麻酔を打ってもらいたがっていて、その人の後で、と言われ1時間近く苦しむ。
かなり自制心がなくなってきて、何回も「 プリーズ ハリイアップ」「ヘルプミー!」などと懇願。
でもちゃんと英語を話しているのはえらい!

やっと麻酔技師の黒人のチビのおばさんがやってくる。
でも、私の背骨の間隔が狭いとかなんとか言って、4回も5回も針をさしまくり、「効いているか?」と何回も聞くけど、「ノー」と言ったら「ちゃんと答えろ」(答えてるやんかー)とか、陣痛を耐えてたら「黙ってたらわからへん」などといらついている様子。こっちが泣きたいわ!と私もキレかける。
結局、足ばかりしびれて陣痛はなくならないので、何度も頼んだ末に見てもらうと、麻酔液が漏れていて背中がびしょびしょだったとのこと。
たのむでーほんま。

またさっきのチビおばさんが来て、今度は帝王切開などに使う脊椎麻酔をすることになる。
なんでもえーからはよしてーって感じだったのが、麻酔が効き始めたらすーっと楽になり、リラックスしたせいか子宮もどんどん開く開く・・・。

多分この後だったと思うけど、おしっこがたまっていると赤ちゃんが出てきにくいとかで、導尿される。
麻酔が効いていて痛みなし。
ついでに恥ずかしさもなし。

1時間ほどすると、内診した看護婦さんに「スタート プッシング」して良いと言われ、やっと終わるーとばかりにいきみまくる。
3時間は持つはずといわれた麻酔が、あんまり効いてないように思えて、またあの痛みが戻らないうちに出産してしまいたいと思う。

いきむこと1時間・・・。

ついていてくれた看護婦さんが、自分も妊娠8ヶ月ほどの大きなお腹をかかえていて、いきむたびに私の右足をお腹につけて支えてくれるのだけど、疲れているのかぼーっとして座り込んだままだったり、どこかへ行ってしまってついていてくれるのは夫だけだったりして、ちょっと不安。

暑くて、日本から送ってもらって病院に持ち込んだ団扇であおぐよう夫に頼むが、途中からぼーっとしてあおいでくれなくなる。(実は赤ちゃんの頭が見え始めるとそちらが気になって仕方なかったらしい。)
いきんでいる間は痛みが薄れるので、陣痛の波が来たら3回いきめといわれたところを4回いきむ。
そのせい(?)か、おしりのあたりに変な感触・・・ウンチ出ちゃったのかしらん?ところが後でこれはでっかい痔になってしまったとわかり、大後悔。

鉄棒のようなバーをベッドにセットして、それにぶら下がる格好でつかまっていきんだり、寝て足を鉄棒で支えるようにしていきんだり。
テレビでは、いきむときに周りの人が「ワン、ツー、スリー・・・」と10数えてくれるシーンが多いのに、妙に静か。誰も数えてくれないし、「プッシュプッシュ」とも言ってくれないので、仕方なく自分の心の中で「1,2,3,4・・・」と数える。

そうしているうちに、夫が「頭が見えてきた」「もう少し、がんばれがんばれ」とはげまし始めてくれる。
看護婦さんが出口のあたりをグリグリゴシゴシこすっている様子。
多分、出口を広げているのだろうけど、その後血で真っ赤になった手袋を脱ぐところが見えたりして、なんか大変なことになっているのでは・・・?

若い女性のお医者さんがやってくる。
部屋に器具が持ち込まれ、並べているのが見える。

堅い頭の感触がして、いつ力を抜くべきやろうか、言ってくれるのかな、裂けないで欲しいけど、などと考えながら必死でいきむ。
歯をくいしばらないように気をつけているつもりだけど口がくいしばって変な形になっているみたい。
声を出さないように(出さないほうが力がうまく入ると聞いたから)するが、いきみ終わりに息を吐くときどうしても声が出る。
ああ、もう少し、もう少し・・・。

「力を抜け」と言われた気がした瞬間、ズルン、バシャン、と赤ちゃんと水が出て、スウっと気が遠くなるような開放感に満たされた。

お母さんが言っていた「出た瞬間はそらもうすごく気持ち良いよー、ほっとするよー」というのは本当だったなあ、と思う。
出産前の予想に反して、全然涙は出なかった。
ただもう、疲れて、ほっとして、ぼーっとして、しばらく動けない。
足元で、夫がハサミを持ち、へその緒を切っているのが見える。
まだ血がついている赤ちゃんが私の胸の上に置かれ、こわごわさわりながら、話し掛ける。
「ようがんばったなあ、しんどかったやろ、よう出てきたなあ、幸せになりよ、ずっと待ってたんやで・・・」
赤ちゃんは目を開けてこっちを見ている。
横に立った夫を見ると、目が赤いみたい。泣いたのかな?「話し掛けたって」と言っても、言葉が出ないのかだまって見つめている。

しばらく夢中で赤ちゃんに話しかけているが、そのうちまだ大きく広げたままの足元で何やら縫っているらしき気配。
一体何針縫ってるんやろう・・・?麻酔のおかげで痛くないけど、気になって仕方ないので、必死に赤ちゃんに集中する。

体重を量ったり名前タグをつけたり、一通りの作業が終わり、一休みした後、看護婦さんに「赤ちゃんにお乳をあげてみたい」と頼む。
看護婦さんに手伝ってもらって、もがきながら赤ちゃんを胸に押し当ててみると、おお、吸い付いてくるよー!!かわいいやつめ!
くにゃくにゃして小さくて、どう持っていいやら困ってしまうけど、お乳をあげるのは面白い。(でも後で黄色い液体を吐きまくっていた。)

出産後2時間経過。

導尿して以降、おしっこしていないのが気になる。
結構点滴されたのと、それまで何ヶ月もトイレが近かったので習慣になっているのと。
看護婦さんにおしっこしたいと伝えて、手伝ってもらう。
トイレは部屋についているけど、ベッドから降りて、便器に座るのに一苦労。
あまりよたよたしていたので、見かねて車椅子を持ってきてくれる。たった2,3メートルほどやのに・・・。
便器に座ってみるが、おしっこしたい気がするにもかかわらず、一滴も出てこない。
どうなってるのー?
また見かねた看護婦さんが、ボトルにぬるま湯を入れて、それをかけて(誘導しているのだろう)みたり、そばのシャワーを出して(水の音を聞くと出るかもしれないから)みたり、でも、やっぱりだめ。

お風呂に入ってあったまったら出てくるかも、という看護婦さんの提案に、始めは(縫ったばっかりでお風呂に入るのはいやだなあ、バスタブ洗ってないし)と思ってしぶっていたけど、とうとう入ることにする。
バスタブ洗ってないって言うと、あんたしか入ってないからきれいきれい、との答え。ぬぬ・・・。
こわごわお湯につかると、ありゃ、案外気持ちいいよー。
ゆっくり浸かっていると、看護婦さんが赤ちゃんをつれてきた。
私の胸の上にポンと赤ちゃんを乗っけて、いきなりこうやって洗うのよ、などと説明しつつ、赤ちゃんをシャンプーしたりしている。
私は赤ちゃんがツルンと滑り落ちへんかしらんとハラハラ。
一通り洗ったら、赤ちゃん退場。

私も湯船から出て、もう一度便器へ。
すると、ああ、おしっこ出た出たー・・・・・と喜んだのもつかの間、今度はいつまでも出続けるではないか!
どうなってるのー?こんなに膀胱ってでかいのか、と感慨にふける。

その夜、しばらく赤ちゃんと一緒に過ごす。
夫も疲れた様子。
赤ちゃんは頻繁にびっくりしたように両手を広げるしぐさをするので、こっちもびっくり。

何回か、看護婦さんに手伝ってもらって、夫がオムツ替えをする。
えらい黒いウンチやなあ。
赤ちゃんはオギャーオギャーとは泣かず、オヒャアオヒャアと、とてもかぼそい声をたてている。

夜中近くなり、看護婦さんが来て、赤ちゃんと一緒に寝るか、看護婦さんに見ていてもらって授乳のときだけ連れてくるか選べと言われ、二人とも疲れていたので、連れていってくれと答える。

赤ちゃんおやすみ。

長い長い一日はこうして終わりました。

メインメニューへ  ◆ まる赤もくじへお父ちゃんと出産へ退院へ