まるちゃんとアラスカ
「気球で飛ぶアラスカの空」
空を見上げると、プカプカ浮かんでる気球がよくあった。
9月に元同僚が遊びに来てくれたとき、一緒に乗ってみた。(実は私が乗りたかっただけ・・・おつきあいありがとう!)
トラックの後ろに大きな籠をつんで、クリーマーズフィールドへゴ〜ウ。
ここは、渡り鳥の休憩所として有名な、広大な敷地。
お兄ちゃん2人が籠を下ろしたり気球の布を広げたりするのを、ちょびっと手出ししてみたり。
大きな扇風機で風を送ると、カラフルな気球が膨らみ始めた(写真)。
あれよあれよと大きな気球ができあがり、私達3人と操縦士のお兄ちゃんが乗り込む。
籠、でかーい。
バーナーの「ごおおおおおお」って音。
大きな炎。
気球は英語で、ホット・エア・バルーンって言うそうな。
バーナーを消すと、ちょっと不自然な静けさ。
飛行機がいつもより近くを飛ぶ。おおー。
空に浮かんでる間も、お兄ちゃんの携帯電話に続々と予約が入る。
広告兼ねて営業してるようなもんやから、なかなか効率よさそう。
籠の中にはいろんな機械に混じって、双眼鏡も装備されている。
あんまり英語がわからないのがわかっているのか、無口なお兄ちゃん。
ニコニコしながら、ムースを見つけてくれた。
「ムース!あそこ、あそこ」
「えーどこー?ようあんなん見つけるなあ」
山の間に、銀色に輝くパイプラインが見えた。意外な大きさ。
フェアバンクスの町は、ちんまりと小さい。
後は地平線まで続く何にもなさ。
1週間前の強風で、黄葉も全部散ってしまい、荒涼とした大地が果てしなく広がる。
ショッピングセンターも、大学も、地表のほんの一点に集まっているだけ。
こんな所になぜ人は住むのだろう。
なぜ住み続けているのだろう。
この日は風が弱くて、あんまり移動はしなかった。
地上へ降りていく。
「うひゃー、速いっ」
飛行機の窓ごしに見るより、段違いのスピードで落ちていく気球。
トラックで待っていたもう一人のお兄ちゃんが、ユラユラ揺れる気球を地面にしばりつける。
また大騒ぎしながら気球をたたみ、籠をトラックにつむ。
短い空の旅が終わる。
なつかしい友達が帰り、孤独な時間が戻る。
それでも、空にはあの気球が漂っている。
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2003/6/6作成 (※1995年の体験です)